カリン (バラ科)
カリン(榠樝、花梨、学名:Chaenomeles sinensis)とはバラ科の落葉高木である。その果実はカリン酒などの原料になる。マメ科のカリンとは全くの別種である。カリン属(=マルメロ属CydoniaまたはPseudocydonia)のカリンはマルメロである。
別名、安蘭樹(アンランジュ)。中国では「木瓜」と書く。ギリシャ語の「chaino(開ける)+melon(リンゴ)」が語源で、「裂けたリンゴ」の意味。果実は生薬名を和木瓜(わもっか)という(但し和木瓜をボケやクサボケとする人もあるし、カリンを木瓜(もっか)とする人もいる。これらカリン、ボケ、クサボケは互いに近縁の植物である)。
原産は中国東部で、日本への伝来時期は不明。花期は3月〜5月頃で、5枚の花弁からなる白やピンク色の花を咲かせる。葉は互生し倒卵形ないし楕円状卵形、長さ3〜8cm、先は尖り基部は円く、縁に細鋸歯がある。
未熟な実は表面に褐色の綿状の毛が密生する。成熟した果実は楕円形をしており黄色で大型、トリテルペン化合物による芳しい香りがする。10〜11月に収穫される。実には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどを含む。適湿地でよく育ち、耐寒性がある。
花・果実とも楽しめ、さらに新緑・紅葉が非常に美しいため家庭果樹として最適である。語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ庭の表にカリンを植え、裏にカシノキを植えると商売繁盛に良いも言われる。
カリンの果実に含まれる成分は咳や痰など喉の炎症に効くとされ、のど飴に配合されていることが多い。渋く石細胞が多く堅いため生食には適さず、砂糖漬けや果実酒に加工される。加熱すると渋みは消える。 |