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Q |
この本見たことがあります。あれ、ちょっと違うかな? |
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A |
ちょっと前に紹介した本「占領期の朝日新聞と戦争責任」と対をなす本で、似ていますが違います。こちらの方がちょっと先に発行されています。
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Q |
副題が「朝日新聞筆政・緒方竹虎の苦悩」とありますね。 |
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A |
前に紹介したのが、この緒方竹虎と朝日新聞の社主の一人である村山長挙との葛藤を主軸とした昭和史でしたが、こちらは終戦少し前まで朝日新聞の顔であったジャーナリスト、緒方氏の半生を主としたものです。
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Q |
難しい本なんですか? |
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A |
目次を並べてみます。
1. 新聞はいかにして一大敵国になったか
2. 「筆政」緒方の誕生
3. 軍部に抗することはできたか
4. 二・二六事件に仁王立ち
・・・
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Q |
私はちょっと・・・ |
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A |
でも、面白いんです。一気読みでした。 第二次世界大戦の終幕って興味ありませんか。日本の上層部でどんな動きがあったのか。原爆までいかないと戦争はやめられなかったのか、とか。
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Q |
あります、あります。すごくあります。 |
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A |
この本は、朝日新聞社というフィルターを通した戦争の物語でもあるのです。 ジャーナリストの緒方が、一方で和平を求めながらも時流に流されていく苦悩は読み応えがあります。 元朝日新聞の記者だった尾崎秀実のゾルゲ事件が、東条内閣の成立のテコになったこと等、様々なエピソードが興味深かったです。
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Q |
ゾルゲ事件ですか。映画も見ましたし、弟さんの本も読んだことがあります。 |
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A |
この本を読んで下さい。これを脅しの材料として、近衛内閣を瓦解させ、東条内閣が成立したことが書かれています。
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Q |
よし、読みます。 |
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A |
識者はそれなりに一刻も早い和平交渉を模索するが、「中国人蔑視」等のため、そうした動きがことごとくつぶされていくのも、日本人として本当に寂しいことでした。
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Q |
伊藤長七初代校長のいう「国際人」たり得なかったのですね。 |
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A |
伊藤長七校長と言えば、1921年のワシントン軍縮会議に参加し、ハーディング米大統領と面談したことは有名ですが、この本の主人公の緒方竹虎も朝日新聞の特派員としてこのワシントン会議を取材しています。伊藤校長のこと、当地で緒方特派員と意気投合していたかも知れませんね。
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Q |
面白い本の紹介ありがとうございます。 |
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A |
いえいえ、この労作の著者、今西さんに「ご苦労様」を贈りたい気持ちです。 |
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小駒(018) |
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